−黒檜は冬模様

山頂の稜線手前を先導する「後見人」

 今回の入院は、抗癌剤(科学療法)治療の適応テストが主目的だったから階段歩きは控え目にしていた。そんなこともあって、鈴ヶ岳の稜線歩きを狙ってみたが、白樺牧場脇から稜線にかけて「熊出没!」の張り紙がやけに目立ち、不気味になって宙返りを決め込んだ。
 思案の挙句「黒檜山のピストンはどうだろう」と二人の衆議が決し、10時半頃、霜を踏みひしがれた山道を超ゆっくりに登り始める。
 いきなりの急登に体が馴染まない。それほど遅い時間ではなかったが、駒ケ岳経由で下山してくる人と何組かすれ違った。これなら熊の方は心配なさそうだ。
 中間点付近になると山道に12日の雪が薄っすらと残っていた。少し強い風が吹くと樹氷がぱらぱらと落ちた。葉を残している木はもはや無い。黒檜山は既に冬山である。
 辛抱に辛抱を重ね昼少し過ぎに山頂直下の分岐に出た。山頂では一組のご夫妻が昼食中。少し離れて我々もコンビニ食にありつく。間もなく、神奈川から来たご夫妻が到着。シャーッターを押してやる。ひと呼吸して新潟(長岡市)からのご一行5名も着いた。暫しの山座同定で情報交換。
 さすがに100名山、遠来の客が絶えない。北端の展望台をお勧めした。天候がイマイチで、上越国境や谷川方面に雲がかかり心配したが、「新潟は雨だったので満足しています」と言ってもらいホッとした。
 頼まれもしないのに、遠来の客に逢うといつしか赤城山をガイドしている「ドンピシャ」でした。