−百日紅

今年も咲いた我家の百日紅

 一度絶えた木がヒコバエから復活して4年目の夏、「猿が滑る」(サルスベリ)には程遠いが、だいぶ大きくなった。
 この花はとても寿命が長い。が、けっして花持ちが良い訳ではなく、一度咲いた枝先から再び芽が出てその先にまた花が咲くのである。このさまを、加賀千代女(かがのちよじょ)は「散れば咲き 散れば咲きして 百日紅」と詠った。
 「戦いに夫果ててすでに50年遺影は今も38才」と詠んだ大先輩の遺歌集も「百日紅」だった。歌集にこの名がついた経過は知る由もないが、夫を失った悲しみを平和を願う力に変えてがんばった先輩に思いを馳せながら、今年も上武大橋を渡ろうと思う。