−世良田たんぼ

世良田田圃の近況

今日は佐波新田用水(世良田幹線)を下流になぞってみた。東武線沿いの舗装路を歩くと早川に突き当たる。用水は少し下流にしつらえたサイホンで早川を渡る。昔はU字溝の樋が架かっていたから水の行方に疑問の余地は無かった。しかし、今はいったん地下に潜るからこのからくりを知らないと途切れたように見えるが、石田川まで延々と続くのである。
早川を渡った用水は世良田田圃を満たし、時として南東のこんもりとした八坂神社の森まで映しこんだものだ。かつてこの神社の夏祭りには世良田駅止まりの臨時電車が運行され、たんぼ中の県道に人並みが溢れた。その駅も今は、誘致企業などと重なり跨線橋の一部がかろうじて見えるだけである。
水田地帯の展望は今も同じだが、様相が随分と違う。いたるところにビニールトンネルがふせられ朝日をはねかえしまぶしい。ごぼう栽培のトンネルのようだ。そういえば縦横に張り巡らされた水路もどこか頼りない。半分くらいは畑作に代わり、残された水田も休耕田が目立つから、水路との縁が薄れてきつつあるのだろう。この地域は水系の末端だったために田植えのできない年も珍しくなかったと聞く。それを解決した用水も、時代の波には打ち勝てないということだろうか。