−病気見舞い

病院の螺旋階段と紅葉

胃がんが進行しすでに転移先の肝臓はいくつものがんでビッシリとのこと。腹水が溜まりだし、余命の宣告をうけたようです。
元気で医者嫌いだったと聞きますが如何にがんと言えども、本人はもとより周囲にも全く気づかれることなく再起不能と宣告されるまでに体を蝕むことが出来るものでしょうか。
ご主人のお葬式を出してまだ一ヶ月もたっていません。何日か前まで弟子さんにお稽古をつけていたわけですから、ベットに力なく横たわりうなずくだけの先生を見るのがつらかったと言います。
先生はもう80歳を越えていますから、ご家族は本人に知らせることなく積極的な治療も望まないことにしたようです。本人が心配するからと見舞いも遠慮したい意向のようでしたが、「みっちゃん」にはすぐ行くように勧めました。
先生が、今後の稽古のことを気にしているらしいし、先生は今がいちばん元気なんだから早く会うほうが良いと考えたからでした。
がんはどんなに発見が遅れても、そのことで明瞭な意識が保てる期間に違いはできますが即死では有りません。自分の望む方法で自分の人生の終いかたをつくることができます。最もそのためには本人が、がんであることを知っていないとダメですが。
昨日ご家族からこんな連絡が来ました。「元気で退院できるなら内緒で治療したい。でも、元気なうちに会える人にはあっていただきたいと思うことにしました」と。「みっちゃん」の見舞いが後押ししたのなら本当に良かったと思います。
二人でたずねるのもと、病院の周りで写真を撮っていました。周辺は紅葉真っ盛りでした。