濫読に候

−津波てんでんこ

著者は、岩手県三陸海岸に生まれ、明治の三陸津波で一族9人が溺死。自らも少年時代に津波や東北大凶作を体験。1986年以降、「歴史地震研究会」会員として著作と津波防災活動に従事してきた。一見奇異なタイトルだが「てんでんこ」には、「各自が銘々に…

−辞書を手配

07年10月の肺がん手術をきっかに、日記を書きはじめた。5年日記を買えば良かったが遠慮して3年日記に留めた。ボケ防止になるべく漢字でと思うがままならぬ。最近までは読むほうは何とかなると思っていたが、森村誠一の「密閉山脈や分水嶺」に読めない…

−安堵 卵のふわふわ

著者は宇江佐真理(Mari Ueza)講談社。初出誌(03〜04年の小説現代) この著者に引き合わせてくれたのは、「赤旗」(1/23、B版9面【文化学問】)に載った“にしん漬”のエッセイである。文中の「うまい!」という表現とその行の置き所に思わずため息が洩…

−照葉樹林文化とは何か

今年の年賀状にあった「1万歩/日」に触発され「近所歩き」をはじめた。初日に歩いた早川沿いが縁で周辺の水路沿いをなぞるのが日課となった。むかし遊んだ田圃っ川の多くが地下に潜り田圃の大半が宅地や畑地に変貌した。わずかに残った水路などもだいぶ荒…

−火山噴火

「読書ノート」みたいなものをと思いついたのは三年前の暮れだったが、二冊ほど書いて日本沈没第二部でつまずき(前編の感動が中断)、ついそのままにしてしまった。再開のきっかけは、「山と渓ときのこと酒と」(相互リンクのサイト)さんの「極楽蜻蛉の読書ノ…

−篩(ふるい)を読む

小一ヶ月前にシリーズ「ものと人間の文化史」のNo125=粉(こな)を読んだ。そのおり、次は「釣針」と決めたが、動物の骨を起源とする釣針の進化論に音を上げた。思案の末に三輪茂雄氏の、粉関連の三部作(粉、臼、篩)の篩を借りてきた。 篩は本来、臼でひ…

−粉(こな)

おもしろい本にぶつかった。 今回が125冊目にあたるシリーズ物、「ものと人間の文化史」(法政大学出版局)の「粉」(こな、三輪茂雄著)である。1968年に出版された「船」(須藤利一編)にはじまり、中断をはさみながらも37年続いているから驚く。 テー…